2005年06月  会計制度の変更が与える販売戦略の見直し



 会計制度の変更が与える販売戦略の見直し
 
    好調な数字がならんだ3月期の元売決算が終了した。上場企業に今年度中の処理が義務付けられている減損処理を前倒しでこなしても、最高益を更新した元売も多く出た。
 不動産や会員券など、取得価額が簿価計上されている資産を時価で洗い直した結果生じた損失を処理する減損処理は、元売の場合は給油所用地が多くの部分を占めたため、減損処理は、社有給油所のうち、その用地である不動産で多額の含み損を抱えていた給油所が時価換算された、という理解をしたい。
 不採算でありながら、多額の売却損を出す結果となることで、これまで延命措置を施されていた社有給油所の流動性が高まることになるから、閉鎖される給油所も多く出るだろう。一方で、不動産価格の目安となる路線価の下落が続く地域の給油所は、販売量などで運営経費が賄えても、財務的な判断で地価の下落によるリスクを嫌って、売却される給油所も出ることが予想される。
 前者の場合は、その多くは更地にされて他の業態へ売却される構図が描ける。したがって給油所小売商戦における緩和要因となることが期待されるが、頭の痛い問題が提起されるのは後者の場合である。
 首都圏や中京圏では値下がりが続いていた路線価が反騰する地域も登場しているが、ローカル地域を中心に列島の大部分は路線価が値下がりする不動産デフレが続いている。現実の統計で、人口減少が現れるようになるから、不動産価格が弱含みで推移し続ける可能性が大である。
 そうした場合、社有の給油所チャンネルが、地域単位でのひと塊で売却される可能性もある。付帯条件で仕入れ先を縛れば、元売は量的なマイナスを心配しないで資産デフレの呪縛から開放される。その売却先が異業種というシナリオ、縁遠い地域で名をはせている安値量販事業者でない保証はない。買取企業にしてみれば、すでに一定量の販売量が付いていることから、全くの新規での不動産取得、給油所新設よりも事業リスクは格段に小さくなる。
 既存の一般特約店への売却が行われれば、心配事は杞憂に終わるのだろうが、低収益が続いた一般的な給油所事業の事業採算性が経営基盤であるから、そもそも原資が不足しているのが一般的な経営状況であろう。給油所の流動性が高まることの反動を組織を挙げて注視したいゆえんである。