2005年08月   「消費者の信頼を失う外税表示」、「値下げ自体にもコストがかかる」



 消費者の信頼を失う外税表示
 
    原油高騰を受けて、石油製品の販売価格が値上げされ、消費者からはガソリンなどの価格に対する関心が高まっている。そのような中で、九州地方に残されている外税表示に対する消費者の不満が一層強まっているようだ。
 全石連のホームページに熊本県内の消費者から、「レギュラー120円(税別)」の表示について、「これはレギュラー126円(税込)とすべきだ。税抜価格を強調する給油所が多く、誤認を与えることになる」との批判が寄せられた。2004年4月から消費税の総額表示が義務付けられた。法律事項でありながら罰則がないため、その徹底が不安視されていたが、ほとんどの業界、店舗でその切り替えが行われた。
 石油販売業界でも、移行以前に各県で説明会を開くなどして、外税への変更を徹底したこともあって、ほとんどの給油所が整然と切り替えたのだが、なぜか九州地方の一部に外税と総額の表示が混在する事態が残された。地元業界によると、価格競争の激化によって、少しでも消費者に自店のガソリンなどを安いと印象付けるための方法として“採用”したのだろうが、だれが考えても、これほど安易な看板戦略はない。
 こうした小細工によって、ドライバーを誘引しようとする給油所のモラルは厳しく問われなければならないし、公正取引委員会として、一部の表示には景品表示法に抵触するケースもあると判断されている。
 メールを送ってきた消費者の後ろには、その何百、何千倍もの、同じ不審を抱く消費者がいると考えるのが常識だ。「お客様相談室」の設置は現代の企業にとって必須となった感があるが、それは、そこに寄せられる不満や指摘は消費者全体の動向を示すメッセージであり、“効率的なシステム”だとする捉え方が一般化したためだろう。
 九州各県の消費者センターなどには、給油所の外税表示に関する問い合わせが多いという。消費者を呼び込むためのやり方が、石油販売業界全体の信頼感を喪失させていることの重大さに気づかなければならない。小利を得ようとして、大きなものを失うほどまでに、われわれは自負をなくし、貧して鈍したのだろうか。
 ガソリン価格は12年ぶりの高値などと報道される中で、われわれはその値上がりの背景を消費者に説明すべきであり、外税の言い訳をする状況ではないはずだ。





 
 値下げ自体にもコストがかかる
 
    原油価格の変動リスクが日増しに高まっている。米国市場では8月26日の通常取引が66ドル/バレル台前半で終了した後、28日のACCESS(時間外)取引で70.8ドルまで急伸して史上最高値を更新した。過去最大級のハリケーンの進路予想に反応したものだが、高値そのものに驚くとともに、瞬時に4ドル以上の値動きをしたことが、さらなる驚きである。正確に言うと、26日に65ドル台へと調整したWTI原油は、28日の時間外で70.8ドルまで上昇したから、最大値幅は4.9ドルに達した。
 4.9ドル/バレルと言ってもピンとこない向きにも、3.4円/リットルと円換算すれば、その驚きを共有できるものと思う。1日で3.4円もの値動きを生じさせるマーケットが、世界の原油価格を決し、結果的に給油所の卸価格の動向を左右しているのが現実である。
 ここまで高騰すると、手元流動性資金の手当ても大変になる。「タイミングを間違えれば、暴動を誘発する恐れもある」と外信が伝えるインドネシア。「原油高に対して逆ザヤとなる給油所売りを出荷規制」、「軽油の販売に関して現金決済を原則とする」という中国の石油事情。両国ともに有力な産油国であり、生産と販売を一貫して手がける国策石油会社があっての状況であるから、先進国を除いた海外事情は、ほぼ石油危機症状と言ってよい。
 好決算という与信力が高まった元売は、自身の流動性も高まっているだろうからびくともしないであろう。ところが収益低下が続き、零細性の高い給油所には大問題である。2005年に入っての原油高=仕切り値上げは、9月値上げの結果1月比で19円/リットルに達しようとしている。消費税込みでは20円である。10月にも4ヵ月連続値上げが確実な見通しとなっているから、それでもまだ途上である。
 これらの値上げが完全達成されれば、ガソリン価格は統計的に湾岸戦争に並ぶ水準となるから、日本でも石油危機に匹敵する事態、という冠が現実のものとなる。
 給油所にとっての値上げは、伝票単価の変更などソフトの更新費用など目に見えるコスト負担以外にも、得意先への説明や給油所店頭スタッフの労力など、コスト負担がかさむ作業である。それを毎月のように行わなければならないのが昨今である。大勢の給油所はそのコスト負担を誰にも求めていないが、連続値上げによる給油所疲労も限界に達しつつある。