2005年09月  大口のロスは元売の自己責任



 大口のロスは元売の自己責任
 
    コストの上昇に伴って電力料金を引き上げます。ただし一般家庭向けのみです。産業用や大口向けに関しては、競合燃料との関係で価格を据え置きます。ご理解ください。
 元売トップの口から、これと同趣旨の発言が一般社会へと発信されるようになっている。重油やインタンク油種の価格交渉はタイムラグが必然的に生じるし、原油高に見合う回収が困難であるから、不足する分を給油所店頭の一般ドライバーからガソリンや灯軽油を通じて回収したい、という趣旨である。勘違いもはなはだしい。
 原油高騰に伴う給油所の価格転嫁は、ほぼ毎月、給油所の全精力を注ぎ込まれて行われている。ところが、国内外に為替や石油の先物市場が常備された社会で、需要家への提案を含めて値動きに対するリスク手当てを怠り、業種間のトップ交渉に大きく依存している対面交渉中心の産業用販売の姿は、量販重視の象徴である。
 給油所でも掛売りに対する価格交渉は、取り残しのリスクが大きくなっているが、元売から自己責任という便利な語句で洗脳されている給油所は、掛け価格の低迷による損失を一般ユーザーに求めたりしない。求めたくとも、現金販売のみのライバルがいる小売市場がそれを許容しない。元売に求めたとしても聞く耳を持たないであろう。その元売は月決めから、さらにコスト変動に迅速に対応する週決めを指向している。
 欧米の航空業界では、原油高が経営を直撃したことによって、著名な航空会社ですら企業経営そのものが失速したケースが続出している。石油のほぼ全量を国策企業が担う中国でさえ、市場メカニズムを押さえ込もうとする理不尽な政策に、国策企業自体が選択販売を行うことで、21世紀型へ移行しようとしているように見える。高度成長期とほとんど変わらない国内の産業用の価格決定方式は、変えなければならない負の遺産である。元売直売部門は、異常な原油高と将来に対する供給リスクが、かつてなく高まっているこの時期に、価格決定方式をリセットすべきであろう。
 産業用の大口の価格決定方式が時代錯誤のままであること、しかも、そのことを放置していたことの責任のツケを、給油所の大切なお客様に転嫁しようとしている姿は醜い。もしも一般社会から完全に閉ざされた業転市場を通じて油種間の価格操作を行う意図だとしたら、その市場の機能自体が社会悪である。