2005年11月  すでに危機的症状にある経営



 すでに危機的症状にある経営
 
    3月期の大手石油元売の中間期決算は、大幅な増収増益となった。税引き純利益は前年比3.6倍に達した。ところが、その内情は原油高を映した在庫の含み益が多くを占め、やはり原油高の恩恵が直接反映される原油生産部門、そして似て非なる石油化学部門での増益を差し引くと、石油販売部門は薄利多売を象徴する数字となった。中には減益や赤字拡大を示唆する数字も残る。
 最大手の新日本石油の場合、中間期連結の1,501億円の経常利益のうち1,125億円が在庫影響である。残り376億円のうち358億円が石油開発によるものとしているから、この2つの要因で、ほぼ収益要因の説明は尽き果てる。
 国内販売数量は灯油とC重油を中心に伸びて10億円の増益要因となったが、自家消費燃料のコスト転嫁不発で101億円のマイナス、タイムラグとマージンの悪化で83億円のマイナスと、国内純正の石油販売では減益要因が続々と登場する。新日石単体の売上高2兆3,000億円に対する在庫影響を除いた経常利益が59億円という数字に象徴される。売上高対(在庫影響除き)経常利益率は0.26%となる。
 国内の石油セグメントで増益を確保した要因は、合理化の果実が積み上がったケースのみで、景気の良い数字とは言えない真実の姿が垣間見える。さらに、国内の石油販売業績を細分化すると、6月に急降下し、その回復に3ヵ月を要し、6ヵ月半期で損益が拮抗する業容となった。現在進行形の11月の業容悪化は、通期業績面において、より深刻である。12月も原油値下がりで、実質2ヵ月連続仕切り値下げを示唆している。
 こうした業容悪化は在庫増、業転下落、小売価格不振という連鎖を前提として起こり、このタイミングに原油安が重なると傷が深くなる。割高な原油をベースとした製品を、なるべく早期に売り切ってしまおう、というセンスが在庫を有する製造者や卸業者を支配する構図である。緩やかな下落に転じた原油価格に現状で歯止めがかかっていない以上、6月危機を上回る負の要因と国内石油業は対峙しなければならなくなる。
 灯油商戦本番を含めた給油所関連の実需が最大となる第3・四半期の業容を維持するために、給油所は安値一番風呂から拡がる負の連鎖を伝播させないことを心がけたい。その前提は、元売が業転を輸出に転じてでも需給を絞ることに尽きる。