2006年01月  リットル単位の小売にも政策の光を



 「リットル単位の小売にも政策の光を」
 
    割高となる傾向があるものの、ほぼ安定供給が担保された契約による系列取引。割安ではあっても卸元からの安定供給の保証がない業転取引。需給が緩んでいる市場ならば、後者の方が仕入れコストを低減させる効果が期待できるが、余剰が枯渇すると、卸価格が一気に跳ね上がることもあるし、最悪の場合は売る物が調達できない品切れ症状が発生する。今冬の灯油がこれに当てはまる。
 12月の全国平均気温が平年比でマイナス3度という記録的な低温列島と化したことで、実需が爆発的に増えた。やはり記録的な降雪と日本海の強風と荒波が加わって、海陸ともに物流が困難をきたしていることによる。
 一説によると灯油需要は気温が1度動くごとに6%の需要を左右するという。2004年の12月の平均気温は平年比でプラス1度の暖冬で灯油販売は393万キロリットルであった。平年比でマイナス3度の05年12月との差し引きのマイナス4度に、記録的な降雪と強風を加味して推計すると、実需換算で前年比25%の需要増となるから、今季12月の灯油販売は500万キロリットルという記録的な大商いが想定される。ここまでは需給の話。ここからは、一般家庭を中心とするユーザーと、給油所の話題に移る。50億リットルの灯油小売の話である。
 給油所は依然として灯油販売のメインチャンネルであるが、特に北陸と関東以北では、主に都市郊外で安物適宜買いのホームセンター系に市場を奪われ続けている。今季のように安物適宜買いの勢力に品薄が生じることが予想される場合でも、シェアを奪われ続けた給油所に、その代替を果たさねばならない市場ニーズが急浮上する。それでも「何でもあり」を政策は奨励するのだろうか。
 豪雪地帯は、そのまま過度に高齢化が進んだ地域と重なる。極度に合理化された給油所店頭がトップランナーであるのなら、配達の担い手が少なくなるのが経済原則であろう。ましてや命がけに近いような、豪雪の中を配達するリスクは、だれも冒したくない。それでも灯油は各家庭に届けられている。ここを政策は軽視して良いのだろうか。
 大寒波の中で、北国の給油所スタッフは吹きさらしに近い店頭で働き続けている。新しいエネルギー政策の指針として経済産業省がまとめた「新・国家エネルギー戦略」には給油所の文字は皆無である。