2006年04月  「給油所網を劣化させてはならない」、「代替バイオ燃料への給油所の不安」



 給油所網を劣化させてはならない
 
    資源エネルギー庁が公表した2006年3月末現在の登録給油所数は4万7,584ヵ所。この1年間で1,088ヵ所の減少となった。1,000ヵ所を超える減少数は8年連続、登録業者の減少は598社で、9年連続して500社を上回った。
 この1年間の数字を詳細に見ると、給油所と業者の減少数がわずかながらも「圧縮」されていることがわかる。給油所減は過去8年間で最小であり、業者の減少も過去8年間続いていた600社をわずかながらも下回っている。
 依然として、淘汰の嵐が続いているのか、規制緩和から10年が経過し、ようやく激震が治まりつつあるのか―捉え方は分かれるかもしれないが、給油所数のピークだった1994年度末からの減少数は1万2,837ヵ所、率にして21.2%に達し、5ヵ所に1ヵ所の給油所が姿を消してしまった悲惨な状況は厳然としてある。そして、同期間の販売業者は7,636社も減り、給油所を上回る24.2%の減少率だ。ほぼ5社に1社が撤退するという一業界として壊滅的なダメージを受け続けた事実は否定できない。
 規制緩和以降、安値を武器とするセルフの登場とともに、元売販社の流通部門への積極的な進出、事後調整廃止の拡大に代表される元売支援の縮小、さらに、元売各社が打ち出した「指数経営」の勧めによる量販指向の拡大などが重なり、急速なマージン圧縮が起こった。この変化に対応できず、体力が一気に低下していった。給油所と販売業者の猛烈な減少はある意味では当然の帰結でもある。
 規制緩和を契機に元売との関係も劇的な変化を見せた。製品供給者としての役割にほぼ特化し、販売業界のパートナーとされていたポジションから、販社の再編を通じて流通市場への影響力を増すに連れて、販売業者の「競争者」としての性格を現した。販売契約と商標権を盾に系列取引を迫る一方で、差別対価ではないかと疑われるような大きな仕切りの格差を現存させ、業転相場にも一定の影響力を発揮する元売の圧倒的な「力量」に、われわれはさらされている。
 しかし、給油、洗車、安全走行のためだけでなく、災害時や防犯拠点として、社会と地域に欠かせないインフラとしての給油所をこれ以上減らし続けるわけにはいない。そのためには元売に対し是々非々の立場を明確にするとともに、経営責任を自ら負う覚悟を固めることも求められている。 (4月19日付)




 
 代替バイオ燃料への給油所の不安
 
    二階経産相と来日したブラジルのフルラン開発・工業・貿易相が会談するなど、2010年度にガソリン代替として導入を目指すバイオ燃料=エタノール系燃料についての動きが活発化している。日本では36万キロリットルのバイオ・エタノール起因燃料をガソリンに混合する2つの方法が議論されている。E3とETBEである。
 ブラジルでは、早くから自動車燃料にサトウキビなどを原料とするバイオ・エタノールが普及、米国でも地下水汚染問題で高オクタン価基材MTBEをバイオ・エタノールへ変更する動きが急速に広がっている。日本の諸事情に適合させると3%の混合が可能でE3と総称される。
 石油連盟でもバイオ系燃料の導入準備を進めているが、こちらは欧州の一部で導入されているエタノールを合成過程にかけたETBEの7%混合を目指している。水分管理が不要で、環境性能にも優れ、既存車両との相性なども良いことなどが、その理由である。精製・油槽レベルの設備投資コストと品質・ブランド管理も理由のように見える。
 給油所側から見たバイオ燃料の混合対応は、いずれも新規の設備投資を必要とするから、経営的には大問題である。平均的な給油所で、E3なら300万円程度、ETBEなら2,000万円程度の改造コストが必要という情報がある。収益力が乏しい給油所の視点では、金額面ではE3に軍配が上がりそうであるが、まず供給を担う最前線の給油所に伝わってくる情報が乏しく、公表された資料が恐ろしく恣意的に見えたり、自己都合の色に染まっているように見えるのが大きな不安である。生業の行く末を決める可能性があるバイオ燃料の議論の過程は、積極的に開示すべきであろう。全石連の関会長はブラジルとの閣僚会談の後会合で「給油所業界の負担軽減」を切実に訴えた。
 地球環境に配慮した公的な方針転換・新政策であり、北海道や沖縄など国内各地で地域特産品由来、地場産業由来のバイオ燃料の実用化に踏み出してもいるから、給油所もそれを最先端で率先して追求したいが、昨今の収益事情から数年先を見通すと、とても自己投資で賄えそうに見えない。子会社給油所は高収益を謳歌する本体の垂直投資で支えられるのだろうが、生業はバイオ燃料までの道程が恐ろしく険しく感じられる。バイオ燃料導入の前提条件は、再投資できる給油所経営の正常化である。