2009年03月  増大する貸倒れリスク



 増大する貸倒れリスク
 
    厳しい経済情勢が続く中、石油販売業界でも売掛金の貸倒れが懸念されるが、3大都市圏(東京、名古屋、大阪周辺)からは高額な被害報告があまり聞こえてこない。だが、取引先の倒産に伴い回収不能となった未収分の支払い延期を系列元売が今回に限って認めてくれず、「廃業を勧められ、決断せざるを得なかった」事例が大阪で発生する重大事も起きている。顧客の与信に対する不安感から、販売業者は現金・カード取引へのシフトや取引先を絞り込む傾向を強めており、掛売りの縮小傾向はさらに進みそうだ。
 帝国データバンクがまとめた2008年度の全国企業倒産件数は、09年2月までの累計で前年度通期を685件上回る1万2,018件に達し、SS業者の倒産も累計53件と前年度を2件上回っている。企業の経営環境が厳しさを増す中で、取引先の倒産で貸し倒れに至る事例が石油販売業界でも散見される。
 実際、「08年末、取引先の倒産でガソリン代などの貸付分の回収が不能になった。元売に対して支払いの延期を求めたが、これまでは年末分の支払いは元売が延期を認めてくれていたのに、今回はすぐ支払うよう求めて譲らなかった。回収不能で支払いができないというと“店をたため”と言われ、廃業を決心した」(大阪)、「内装関係の取引先でガソリン約100万円分の貸し倒れ被害を受けた」(東京)、「土建業で約120万円の貸倒れがあったという話を聞いた」(愛知)などが伝えられている。
 ただ、こうした実被害が報告される一方で、“意外と”と前置きしながら「貸倒れの被害報告は耳に届いていない」などの指摘が多数聞かれる。「トラック輸送の低迷で中小販売業者が扱う軽油の大口取引がなくなったり、減車や利用頻度・距離の減少でガソリンの取引量も少なくなり、無理をしてまで掛売り客としてつなぎ止める必要性が薄れた」(東京)、「掛けの申し込みをすべて断っている。申し込みは建設関係、特に配管業者が多い」(千葉)、「入金遅れがあれば取引をやめたり、手形も50万円を超えると引き受けないSS業者も増えるなど、警戒感が強まっている」(愛知)、「建設業の冷え込みが本格化しそうで、先行きが不安」(同)、「債権管理を強化し、直売の営業担当には支払いの可否を常にチェックさせている」(岐阜)、「信用面の取引に影響が出ている。大口A重油を取り扱う業者などは、取引先との関係をやめてもよいと考えるようになり、キャッシュ・オン・デリバリー化も進む傾向にある」(大阪)など、貸し倒れを懸念して掛売りを縮小する傾向を強めている。